ベトナムにおける基本的な給与計算方法についてご紹介します。 まずは総所得の内訳を整理し、各項目の計算方法を確認しいきます。総所得は、
総所得額 ＝ 非課税所得 ＋ 課税総所得
と表せます。非課税所得については下記リンクを参照して頂きたいのですが、 ⇒ http://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/invest_04/
(a) 家族及び親戚間の不動産譲渡所得 (b) 居住用不動産の譲渡所得 (c) 利用料が免除又は軽減された土地利用権の譲渡所得 (d) 家族及び親戚間の不動産の相続及び贈与所得 (e) 農業、林業、製塩、畜産、漁業及び水産物の売買による所得 (f) 農地転用の為の農地譲渡所得 (g) 預金及び生命保険の利息 (h) 海外からの外貨送金 (i) 残業及び夜間勤務手当の通常勤務給超過分 (j) 年金 (k) 奨学金 (l) 保険金及び補償金 (m) 寄付金 (n) 外国機関からの援助金 のように定められています。と定められています。 今回は単純な例として、非課税所得がないものとして考えます。 そうすると、総所得額は
総所得額 ＝ 課税総所得 ＝ 所得控除 ＋ 課税所得
となり、通常のベトナム人社員の場合この所得控除は
所得控除 ＝ 基礎控除 ＋ 扶養者控除 （＋ 寄付金控除） ＋ 社会保険 ＋ 健康保険 ＋ 失業保険（労働者10人以上雇用している場合）
と表すことができます。 ここで各控除項目の割合は
- 基礎控除：400万VND/月
- 扶養者控除：1人当たり、160万VND/月
- 寄付金控除：寄付金として支出した額
- 社会保険：雇用者17%、労働者7%（2013年）
- 健康保険：雇用者3%、労働者1.5%
- 失業保険：雇用者1%、労働者1%
となります。ここで注意すべき点は、各保険料には上限が定められていることです。
上限 ＝ 最低賃金の20倍 × 各保険料率
現在ホーチミン市における最低賃金は235万VNDとなっているので、 例えば社会保険の上限は
社会保険上限 ＝ 235万VND × 20倍 × 17% ＝ 799万VND
となります。 これらを考慮して課税総所得から所得控除を引いたものが課税所得となり、 この課税所得に累進税率を乗じることで所得税を求めることができます。 累進税率は、下記の表の通りです。
| 課税所得(千ドン)/月 | 所得税率 | 速算用(マイナスする) | |
| (単位：千ドン ) | |||
| 0 ~ | 5000 | 5% | 0 |
| 5,000 ~ | 10,000 | 10% | 250 |
| 10,000 ~ | 18,000 | 15% | 750 |
| 18,000 ~ | 32,000 | 20% | 1,650 |
| 32,000 ~ | 52,000 | 25% | 3,250 |
| 52,000 ~ | 80,000 | 30% | 5,850 |
| 80,000 ~ | 35% | 9,850 | |
累進税率ですので、例えば課税所得が18,000 ~ 32.000(千VND)の場合、課税所得を x とすると、
所得税 ＝ 5000 × 5% + (10,000 – 5,000) × 10% + (18,000 – 10,000) × 15% + (x – 18,000) × 20%
＝ x × 20% – 1,650
として計算することができます。 その他の金額の場合も該当する範囲の所得税率を掛けて、速算用の額を引けば、所得税を求めることができます。 さて、以上を踏まえて最後に具体的計算をしてみます。実際の手取り額は
手取り額（給与支給額）＝ 総所得額 － 各種保険料 ー 所得税
と表せるので、総所得額が2000万VND、扶養者数が1名だった場合、
所得控除 ＝ 2000万 ×（社会保険料7%＋健康保険料1.5%＋失業保険１％）＋ 基礎控除400万 ＋ 扶養者控除160万
＝ 190万 ＋ 400万 ＋ 160万
＝ 750万
課税所得 ＝ 2000万－ 750万 ＝ 1250万
所得税 ＝ 1250万 ×15% ー 75万＝ 112.5万
手取り額（給与支給額）＝ 2000万 ー 190万 － 112.5万 ＝ 1697.5万 VND
となります。 上記の計算方法については公式のガイドライン（Circular No. 84/2008/TT-BTC）も存在しますので、是非一度目を通してみては いかがでしょうか。 ⇒ http://b-company.jp/database/organization/circular-no-842008ttbtc-of-sep.html
